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元タクシー運転手から泥沼にハマった男のブログ

30代元タクシー運転手が農家になる途中

素人アマチュアから見た林業

農業

d.hatena.ne.jp

労災発生率は全産業で林業が一番高い

現在、林業をほんの少しかじっているだけ程度のアルバイトをさせてもらっているが、すごく危険な仕事だと思う。安全第一とよく言うが、身のこなし方ひとつを基礎からみっちり鍛えないと、傷が絶えない生活になってしまう。一番は、足場が悪く、決まった形が取れないということ。自然相手だからしょうがないのだが、特に斜面での作業は体のバランスを取るのが本当に難しく感じる。

先日丸太の上に玉乗りしてしまったときにバランスを崩して地面に手を付いて、薬指が捻挫のようなことになってしまっている。病院に行けばいいのだが、金がもったいない・・・。

玉乗りしてしまうこと自体がアマチュアの証拠である。「それは足元の丸太を片付けてからやることだ」と教えられた。客観的に見て、ちゃんと体系立てられたり、カリキュラムがあって教えられたものでないと、ケガが増えるのは当然の現場のように感じる。それは上司の人も言っていて、林業家でない一般の人が伐採のために木に登るのを見たことがあったそうだが、安全は二の次になっていたという。「確かに早くて、下から見たらすごいなーと思うが、もし何かあったときに対処ができない状況で仕事をしている」と。実際林業に関しては日本は遅れているそうで、カナダとか北欧だったか、そういう国のほうが進んでいると。道具類でも、チェーンソーひとつにしても、質がいいというものは全て海外製の聞いたことがないメーカーばかりだ。安全対策も同じで、海外はそれがしっかりしているそうだ。日本は昔のやり方とか「見て覚えろ」的なところが多いのかなという印象だ。

 

労働災害は全産業で林業が一番高いらしい。以下は、林野庁の林野庁/林業労働災害の現況ページから表を一応作り直した。  パクリになんのかな?

林業労働災害の発生率

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資料:「産業別死傷年千人率」(厚生労働省)

注:平成24年より千年率の計算に用いる資料が「労働者災害補償保険事業年報」及び「労災保険給付データ」から「労働者死傷病報告書」及び「労働力調査」に変更されている。

 

千人率だからパーセントで言うと2.8%の死傷率になる。とりあえず、他の産業に比べるとダントツで高い。一番高いのは倒木作業、つまりチェーンソーで木を切って倒す作業らしい。

最初に講習を受けたときの講師である上司いわく、「データも一人親方みたいな人のデータは全産業入ってないだろうからなんとも言えないけど」ということだったが、一般の人で倒木作業をしている人もいるだろうから建設業でも林業でも同じぐらい労災と同等の事故は上乗せされるのではということだった。また、田舎では建設業の人が仕事が無いときに、林業に参入というか山に入って木を切るらしい。そういったことも見えない数字になっているかもしれない。

木は重い

木は軽いと思っていた。これが最大の素人の勘違いで、これを皆さんに伝えたい。 いや、軽いと思っていたわけではないのだが、実感すると想像以上に重かった。生の、つい今の今まで水分を吸っている木は。乾燥したらだいぶ違うのだけど。その重さは文章では全く実感が伝えられないので、あえて書かない。死ぬなぁと実感する、ということだけ書いておく。

それに伴って、丸太が予想外の動きをすることもあり、そのときにとっさに避けようとしたり動くとこれがまた危ない。アマチュアの僕なんかは玉乗りしてしまう。これは修練も必要なのだろうが、ちゃんと意識して基本のことをしないとケガが絶えない。常に先々を予想して動く。これが基本である。

 

1本が数百円の木

林業という産業は存在しているのか?

これが、僕の偽らざる感想である。ここで言う林業とは、山に入って植えられた杉を切って、それを運んで売りに出す、そしてまた苗木を植えるという仕事である。映画『WOOD JOB!』の世界。こんな大変な作業をして運んで一本いくらとか、具体的な金額を聞いたら数百円であった。それも、買い手がいないからという理由なので、0円と言ってもいいかもしれない。「それ成り立ってねぇじゃん」と思った。そもそもこの辺りに植えられた杉は山武杉という種類が多いそうなのだが、その多くが「溝腐れ病」という幹に溝ができる病気にかかっていて、材として使い物にならないらしい。

春になると忌まわしき花粉を撒き散らすあのスギが、あんなに大変な思いをして切ってふもとまで運んでも、なんと買い手がつかないのである。

それを聞いた僕は何だか絶望してしまった。成り立たないんだなぁと。あの重さのものをヒィヒィ言って運んでも。ヒィヒィ言わないようにするには大規模な機械が必要なのだけど、それは百万単位じゃ収まらない。

日本の林業は成り立たない。もっと革新的な大規模伐採できる機械があればいいのだろうけど。それでも材としての木の価値はほぼない。そんなに大量生産できるものでもないと思う。自然だし、斜面だし。

もちろん、これは今僕がいる限定されたエリアだけだから、他のエリアのことはよく分からない。それでも、ここはかなりなだらかな地形だ。日本のほとんどがもっと急峻な山ばかりなのに、そこで利益を上げるって相当大変だろうなと感じる。

文頭のリンクのブコメで、「森林組合なんぞさっさと補助金も助成金も打ち切って、一旦潰してしまえ」という言葉に星が集まっていた。森林組合とか補助金の現状がどんなものか僕は知らないのだけど、なんとなく、林業が成り立っていない気がしているのは同感である。