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元タクシー運転手から泥沼にハマった男のブログ

30代元タクシー運転手が農家になる途中

田舎暮らしで空き家が出ない理由は、実は「仏壇」にあり?

農業

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農業は自宅も職場

僕は今賃貸のアパートに住んでいるのですが、農業を始めるにあたって、いわゆる貸家、もっと言えば作業場がある「元農家」の住宅に住めるかどうかが重要です。

農家の作業場所というと圃場(ほじょう、田んぼや畑のこと)がそれにあたるのですが、実は洗浄や梱包・袋詰め作業が家や作業場(屋根や電気がある場所)でできるかどうかで、効率が全く違うんですよね。農業は反復作業も多いので、稼ぐ農業を実現するには「効率」がすごく重要なポイントなのだと感じています。

農村に行って分かりましたが、家の目の前に圃場がある人ばかりでなく、遠くの圃場まで車で通って作業する、いわゆる「通いの圃場・農業」の人もたくさんいるのです。

 

物件は見つからない

というわけでそのような「農家住宅」を探しているんですが、なかなかそういう物件は見つかりません。役場の空き家バンクというのもあるんですが、これまた自治体で大きく対応が分かれていて、簡単にいうと積極的かどうかで温度差があるということですね。残念ながら僕の入ろうとしている自治体はあまりそういう点で評判がよくありません(笑)。空き家バンクへの登録物件もほぼありません。

とはいえ、「よし、それなら自分で探すぞ」と言って僕のようなヨソ者が突然訪問して「すみませーん、ここ貸してくれませんか!?」と行ってもOKしてくれる空き家住人はいません(というかそもそも空き家だからダレも住んでなかった)。

だから今のところ、一番現実的なのは作業しながら地域の人に顔を覚えてもらって、「じゃあ、彼になら任せられるかなと」いう信用を勝ち取るのが、遠いようで一番近いんじゃないのかな、という結論に至っています。

 

実は「仏壇」が大きな要素?

そもそも空き家を他の人に貸したがらない原因は何か?を探っていくと、「仏壇」や、隣接してる場合「お墓」が実は大きな要素なのではないか、という話です。

そもそも、わざわざ田舎に他の場所から移住してきて農業をやろうという人間は、田舎の人からすると結構変わり者が多いです。たぶんですが、多くが元都市住民じゃないでしょうか。僕は東京には10年弱住みました。もともとは田舎の出身ですが、両親は次男・三女でいわゆる「本家」からは離れている家でした。農村と隣接してる住宅地住まい。仏壇ももちろんありませんでしたし、お墓も近所にあるのにほとんど墓参りをした経験もない、そういう「宗教」や「ご先祖さま」からは遠い家柄だったと思います。

しかし本来の農村はそういうものが密着していて、家には仏壇が置いてある家が大多数なのではないでしょうか。いわゆる「本家」が多いのだと思いますから。

 

あるとき、師匠がぼそっと言いました。

「田舎で空き家が出ないのはね、仏壇があるからなんだよ」

ずっとその土地ですむ師匠が言う言葉だったので、すごくリアルな田舎事情に感じられました。

確かに、子供が出ていって親が住んでいて、その親が死んで家の仏壇に祀っているけれども、子供はそこには住んでいない。そういう家は多いのではないでしょうか。

かくいう僕の祖父母の家が全く同じで、僕の叔母夫婦がたまに掃除しに行ったり、墓参りしたりしているらしい現状があります。

そういう地元の祖母の家に、「すみませーん、貸してくれませんか?」と全く見知らぬ得体も知れない若い男が来たら、世話をしている叔母夫婦はどう感じるだろうか。孫である僕ですら少し違和感がある・・・。そういうことを考えると、田舎者が持つ「家」というものの持つ深い意味が感じられました。

 

***

 

もちろん、仏壇が無い家もあるでしょうし、他にも色々要因があるでしょう。しかし、ずっとその農村に住む師匠が言う言葉だったので、実は現場レベルでは心のどこかででも、こう思っている人は多いのではないか、とすごく納得させられました。

ご先祖を祀ってきた仏壇を、得体も知れない移住者が世話するわけにはいかないでしょう。かといって仏壇を移設するのもお寺の都合などがあって一筋縄にはいかない。近所の目もある。そういう現状から「とりあえずペンディング」的になっているのが今の田舎空き家事情なのだと思います。都市部でも、今大きな問題にはなっていますが・・・。感情の問題は理性で解決するのが難しいという、いい例です。

 

僕はとりあえず現状、少しずつ、最初は作業が非効率でもいいから徐々に地域に溶け込めればいいかなと思っています。移住当初は半分勢いで来たと思っていましたが、1年近く住み、もう年齢的にもここで根っこを張ろうという気持ちが強くなってきています。農業なら一生の仕事になるかもしれませんし、ゆっくり焦らずやりたいと思います。