泥沼ブログ

非農家から就農して、男一人で農業所得400万・時給2000円農業を目指します

農業は、事業の資産が野ざらしリスクという特殊な業態。


はてブでトップに出てきて、その後夜になってYahooニュースにも掲載されました。画像が載っていたこともあってすごくショッキングなニュースです。読む限りメロン6600玉という途方もない大規模な被害。僕みたいな個人農家ではなく、大農家の悲劇的な損失です。読んだ限り、従業員の方やハウスには危害がないようなので、寺坂農園さん、大変かとは思いますが頑張って復旧していただきたいです。ブコメにもありますが、クラウドファンディングというようなのを利用してみてはどうでしょうか。ここまで大きく取り上げられれば、今回のことを知った人も多いはずなので・・・。

 

農業の資産は田んぼ・畑。そしてそれは・・・

僕が農業を始めて最初に、農業って特殊というか脆弱だなと思ったのが、農地というのはほぼ野ざらしの露出した状態だということです。がっしりと刑務所のようにフェンスを張ったり、センサーを張り巡らせてALSOKをかけている農場は、少なくとも僕の近所では見たことがありません。イノシシ除けや鳥除けのフェンスやネットはありますが、悪いことを考える人間には効果はありません。夜中にフェンスの上から農薬や害虫を放り込まれたら誰にもわかりません。東京の大企業ならほぼすべてに警備会社が入っていて、夜中も警備会社の車が都心を周っていますし、警備員が何人も雇われているはずです。たかが田舎の農地ですが、農家にとっては資産であり食い扶持です。

僕の田んぼも車道に面していますが、それこそ夜中に車からグリホサート系の除草剤の原液が入った玉みたいなものを夜中に投げ入れられたら、全面、数日かけて黄色くなって、枯れていくかもしれません。そしてこれを防ぐには車道にライトと防犯カメラを数メートル毎に着けなくてはなりません。しかし現実的に考えてそんなことをしている農家はいないでしょう。しかもその農薬が指定外の違法な(散布してはいけない)農薬で、症状にも出なかったとして、そのまま知らずに出荷し、残留農薬のテストを受けた結果残留があった、となったとします。そうすると僕個人だけでなく組合や地域で出荷停止、個人にかかる罰金は1億円。自己破産ですよね。(リスクヘッジとしてそういったものに適用される保険に入っておくべきでしょう)。

今回のメロン農家さんはハウスだったこともあり、カギをかけていたかもしれませんがそれでもこんな事件が起きました。赤の他人ではなくて、内部か、その農家さんをよく知る近所の人の犯罪ではないかなと思います。繰り返されてますし・・・。

まさにこういったことが、農家の卵である僕も怖いのです。何をされるかわからない資産を守っていかなければいけないのが農家なのです。

 

「田舎のしがらみ」は信頼を得る(≒秩序を守る)ためではないか

少し話はそれるかもしれませんが、よく「田舎はしがらみが強い」「近所の目を気にするようになってしまう」と言われるのは、実際は上記のようなところもあり、特に農家目線で言うと当然ではないかと感じています。それが一番のリスクヘッジだと感じるのです。

ご存じの方も多いかもしれませんが、特に都市部は監視カメラがそこかしこについています。いわゆる山手線の内側だけではありませんよ。東京で事件を起こすとすべて監視カメラをたどって警察は犯人を追跡します。タクシーの車内カメラですら、警察にすぐつながります。そのため犯罪者は監視カメラを逃れるように生活しているそうです。

しかし田舎ではそこまで監視カメラが配備されているわけではありません。せいぜい、地元の人の監視(見慣れない人が行動をしていると怪しむ)というぐらいです。これは田舎の宿命です。人口密度が少ないので費用対効果的に考えて、システム化できることが東京に比べると圧倒的に少ないのです。自警団とか消防団とか自治組合とか近所の人の監視とか、都市部の人から見ると面倒臭いこと以外なにものでもない、ということは、田舎にとってはどうしても必要なものなのです。それによって秩序が保たれていると言っても過言ではないと思います。

それに付随して「信用」というものも僕は警備的な意味、警察的な意味もあると思うのです。人口1万人未満の町にも警察署を幾つも建てて東京なみにパトロールしてくれればバッチリなのです。しかし今僕が住んでいる町の人口密度は、以前僕が住んでいた東京都板橋区の人口密度の100分の1以下です。人口が少ないので警察署の本署はありません(確か)。しかし面積だけは広いので、警察の目は行き届きません。それは農業以前に田舎の脆弱性ではあると思います。

そのため、田舎では「信用」とか「人間性」が大きな指標になってしまうのだと思います。

僕も出身は田舎なので、東京に出た時になんというか、すごいシステム化された都市だなと感じました。それは今思えば、「特に近所づきあいにおいて、人間性を見られることがないな、それはとても気楽だな」と漠然と感じていたということでした。再度田舎に引っ越してきた今、それを確実に感じています。「信用を失うと、何されるかわからん」というビビりが意識の大部分を占めるようになったのです。それは農業を始めた僕にとっては、やはり自分の資産(食い扶持)である農地が公に露わになっているからです。

単純に田舎暮らしというと悠々自適のリタイア的な暮らし方もあるので、一概に田舎暮らしとはまとめられないと思いますが少なくとも、農業を営むというのはそういう側面があるのだと僕は感じています。だからこそ変なことはできないし、変な噂を立てられることすら、農業経営ひいては生活においてもリスクになるということだと思います。

 

どうでしょう、農業をやろうかな、レンコンをやろうかなと思っているあなたは、そういう田舎に引っ越して信頼を築けそうでしょうか??

 

逆に考えて、地域でも僕が信頼を得ることができたら、それは強力な味方や警察官を得られる、農業経営リスクを減らせる、というふうにも捉えることができると信じて、僕は今農業をしています。

 

※ちょっと不安・不信をあおる文章になってしまいましたが、冒頭のメロン農家さんがそういう場所であるというわけではなく、信用がないとか恨みを買われるという意味では書いておりません、念のため。調べたところ、農協を挟まずに売ってるからやっかみがあるのかもということはあるようです。

悪いのは当たり前ですが犯人です。犯罪です。大犯罪です。自分のことに置き換えると息が詰まりそうになります。というか息絶えるですね。警察には必ず捕まえてほしいです。